今回は、「日雇派遣の原則禁止」について説明したいと思います。

 

派遣法第35条の4第1項に、

 「派遣元事業主は、その業務を迅速かつ的確に遂行するために専門的な知

  識、技術又は経験を必要とする業務のうち、労働者派遣により日雇労働者

  (日々又は30日以内の期間を定めて雇用する労働者をいう)を従事させて

  も当該日雇労働者の適正な雇用管理に支障を及ぼすおそれがないと認め

  られる業務として政令で定める業務について労働者派遣をする場合又は

  雇用の機会の確保が特に困難であると認められる労働者の雇用の継続等

  を図るために必要であると認められる場合その他の場合で政令で定める場

  合を除き、その雇用する日雇労働者について労働者派遣を行ってはならな

  い」

と規定されています。

 

上記は、いわゆる「日雇派遣の禁止の規定」と呼ばれるものですが、では、

どのような場合が日雇派遣に該当するかというと、

 ① 労働契約の期間が30日以下の場合

 ② 労働契約の期間が31日以上であるが、週の労働時間が概ね20時間に

   満たない場合

のいずれかに該当する場合は、日雇派遣となります。

 

①については、文字通り派遣元と派遣労働者との労働契約期間(派遣元と派遣

先との派遣期間ではなく、派遣元と派遣労働者との「労働契約期間」)が、30日

以下の場合は、無条件で日雇派遣に該当することになります。

 

②については、派遣元と派遣労働者との労働契約期間は31日以上あるが、週

の労働時間が概ね20時間に満たない場合についても、日雇派遣に該当する

とになります。

 

このように、31日未満の雇用契約等を締結して派遣することは日雇派遣に該当

し、禁止されていますが、次の場合は、日雇派遣をすることが認められています。

 (1) 日雇派遣の禁止の例外業務(18業務)に派遣する場合

    ① 情報処理システム開発関係(派遣法施行令第4条第1項第1号)

    ② 機械設計関係(派遣法施行令第4条第1項第2号)

    ③ 機械操作関係(派遣法施行令第4条第1項第3号)

    ④ 通訳、翻訳、速記官系(派遣法施行令第4条第1項第4号)

    ⑤ 秘書関係(派遣法施行令第4条第1項第5号)

    ⑥ ファイリング関係(派遣法施行令第4条第1項第6号)

    ⑦ 調査関係(派遣法施行令第4条第1項第7号)

    ⑧ 財務関係(派遣法施行令第4条第1項第8号)

    ⑨ 貿易関係(派遣法施行令第4条第1項第9号)

    ⑩ デモンストレーション関係(派遣法施行令第4条第1項第10号)

    ⑪ 添乗関係(派遣法施行令第4条第1項第11号)

    ⑫ 受付・案内関係(派遣法施行令第4条第1項第12号)

    ⑬ 研究開発関係(派遣法施行令第4条第1項第13号)

    ⑭ 事業の実施体制の企画、立案関係

       (派遣法施行令第4条第1項第14号)

    ⑮ 書籍等の制作・編集関係(派遣法施行令第4条第1項第15号)

    ⑯ 広告デザイン関係(派遣法施行令第4条第1項第16号)

    ⑰ OAインストラクション関係(派遣法施行令第4条第1項第17号)

    ⑱ セールスエンジニアの営業、金融商品の営業関係

       (派遣法施行令第4条第1項第18号)

     ※ 各業務の詳細は厚生労働省 「労働者派遣事業関係業務取扱

       要領(平成30年7月6日以降)」p200~p210を参照

      https://www.mhlw.go.jp/general/seido/anteikyoku/jukyu/haken/youryou_h24/dl/all.pdf

 (2) その派遣労働者が60歳以上の場合

 (3) その派遣労働者が昼間学生の場合

 (4) その派遣労働者の主たる収入額が500万円以上の場合

 (5) その派遣労働者が扶養されている世帯全体の収入合計が500万円以

    上の場合(ただし、その派遣労働者の収入が当該世帯全体の収入合計

    の50%未満の場合に限る)

 

これらの場合は、日雇派遣をしても派遣法第35条の4(日雇派遣の禁止)の規

定には抵触しません。

 

「(1) 日雇派遣の禁止の例外業務(18業務)に派遣する場合」については、

各業務ごとに詳細な基準が定められておりますので、それに該当しない場合は、日

雇派遣をすることはできません。

 

「(2) その派遣労働者が60歳以上の場合」については、その派遣労働者が60

歳以上であれば、日雇派遣をすることが認められています。

 

「(3) その派遣労働者が昼間学生の場合」については、次の①~⑤の学生は含

まれません。

 ① 夜間大学の学生

 ② 夜間高校の学生

 ③ 通信制の課程に在学する学生

 ④ 卒業見込証明書を有する者であって、卒業前に既に、卒業後に就職する予

   定の会社にアルバイト等として雇用されて働いている学生

 ⑤ 休学中の学生

 

「(4) その派遣労働者の主たる収入額が500万円以上の場合」については、例

えば、その派遣労働者が保有しているマンションの家賃収入や株の売買収入など、

複数の収入源がある場合は、その中で一番収入額が高い収入が500万円以上

あるかどうかで判断します。その派遣労働者のすべての収入が500万円以上かど

うかではないのでご注意ください。

 

また、日雇派遣の禁止の例外の要件に該当するかどうかの確認方法については、

 (1) 日雇派遣の禁止の例外業務(18業務)に派遣する場合

     ⇒ 18業務のいずれかに該当しているかどうかを業務内容で適正に判

        断していただくことになります。

        仮に該当しない場合は当然、派遣法に抵触することになるのでお気

        をつけください。

 (2) その派遣労働者が60歳以上の場合

     ⇒ 年齢が確認できる公的書類(住民票、健康保険証、運転免許証等)に

       より確認していただかなければいけません。

 (3) その派遣労働者が昼間学生の場合

     ⇒ 学生証等で確認

 (4) その派遣労働者の主たる収入額が500万円以上の場合

     ⇒ 原則、所得証明書や源泉徴収票等で確認

 (5) その派遣労働者が扶養されている世帯全体の収入合計が500万円以上

     の場合(ただし、その派遣労働者の収入が当該世帯全体の収入合計の

     50%未満の場合に限る)

     ⇒ 原則、その世帯全員の所得証明書や源泉徴収票等で確認

 

労働者派遣事業関係業務取扱要領には、「合理的な理由により上記の書類が用

意できない場合はやむを得ない措置として日雇労働者本人からの申告(誓約書

の提出)によることも差し支えない」と記載されていますが、合理的な理由には

「持ってくるのを忘れた」という理由は含まれませんので、基本的には上記の書類

による確認が必要となります。

(誓約書のみでの確認しか行っていない場合は、確認の義務を怠ったとして派遣

法に抵触する可能性があります。)

 

 

(資料)
 厚生労働省 「労働者派遣事業関係業務取扱要領(平成30年7月6日以降)」

 https://www.mhlw.go.jp/general/seido/anteikyoku/jukyu/haken/youryou_h24/dl/all.pdf

 厚生労働省 「平成27年労働者派遣法改正法の概要」

 https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11650000-Shokugyouanteikyokuhakenyukiroudoutaisakubu/0000098917.pdf

 厚生労働省 「平成27年労働者派遣法改正法の概要」

 https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11650000-Shokugyouanteikyokuhakenyukiroudoutaisakubu/0000098917.pdf