今回の新型コロナウイルスに関するQ&Aが厚生労働省から発表されています。
新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00007.html#Q9-1
上記のQ&Aは毎日のように更新されていますので、最新の情報をご確認ください。
上記Q&Aの中から派遣事業に関係のあるものについてご紹介したいと思います。
新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)
4 労働者を休ませる場合の措置(休業手当、特別休暇など)
<感染した方を休業させる場合>
問2
(対象:派遣元)
労働者が新型コロナウイルスに感染したため休業させる場合、休業手当はどのよ
うにすべきですか。
答
新型コロナウイルスに感染しており、都道府県知事が行う就業制限により労働者
が休業する場合は、一般的には「使用者の責に帰すべき事由による休業」に該当
しないと考えられますので、休業手当を支払う必要はありません。
なお、被用者保険に加入されている方であれば、要件を満たせば、各保険者から
傷病手当金が支給されます。 具体的には、療養のために労務に服することができ
なくなった日から起算して3日を経過した日から、直近12カ月の平均の標準報酬
日額の3分の2について、傷病手当金により補償されます。
具体的な申請手続き等の詳細については、加入する保険者に確認ください。
筆者解説
派遣労働者が新型コロナウイルスに感染した場合、休業手当(会社が労働者を会
社都合で休ませた場合に労働者に対して支払う一定の賃金のことをいいます)を派
遣元が労働者に対して支払わなければいけないのかということが問題となります。
休業手当の支払いについては不可抗力による休業の場合は、使用者に休業手当の
支払義務はありませんが、不可抗力による休業と言えるためには、
①その原因が事業の外部より発生した事故であること
②事業主が通常の経営者としての最大の注意を尽くしてもなお避けることができ
ない事故であること
という要素をいずれも満たす必要があります。
派遣労働者の新型コロナウイルスの感染は上記①及び②の両方とも満たしている
ことになるので、派遣元から派遣労働者に対する休業手当の支払いは不要というこ
とになります。
しかし、派遣労働者も無給では生活に困ることになります。
そこで、今回の新型コロナウイルスの感染については、社会保険に加入している
派遣労働者であれば、健康保険の傷病手当金の支給の対象となるので、新型コロナ
ウイルスに感染したため会社を休んでから4日目以降は傷病手当金が支給されるこ
ととなります。
社会保険に加入されている派遣労働者については是非、傷病手当金が受給できる
よう雇用主である派遣元も手続きをしてあげてください。
勤務時間が短くて社会保険に加入していない派遣労働者が新型コロナウイルスに
感染して休業させた場合は傷病手当金は支給されません。
では、勤務時間が短く社会保険に加入していない派遣労働者は何の補償もないの
かというと、雇用調整助成金の対象となるかもしれませんので、そのような方がお
られたら一度、各都道府県にある労働局の助成金窓口に問い合わせてみてください!
雇用調整助成金については以下のサイトをご確認ください!
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/pageL07.html
(資料)(以下のリンクはR2.4.15に更新しています)
厚生労働省 「労働者派遣事業関係業務取扱要領(2020年4月)」
https://www.mhlw.go.jp/general/seido/anteikyoku/jukyu/haken/youryou_2020/dl/all.pdf
厚生労働省 「平成30年労働者派遣法改正の概要<同一労働同一賃金>」
https://www.mhlw.go.jp/content/000594487.pdf
厚生労働省 「不合理な待遇差解消のための点検・検討マニュアル(労働者派遣業界編」
https://www.mhlw.go.jp/content/11909000/000501271.pdf
厚生労働省 「労使協定方式(労働者派遣法第30条の4)「同種の業務に従事する一般労働者の賃金水準」について」
https://www.mhlw.go.jp/content/000595429.pdf